赤ちゃんが産まれると始まる日々のお世話。 特に、赤ちゃんを育てるために必要不可欠な授乳は、トラブルも起こりやすく大変ですよね。
先日私の友人が、授乳の時に気持ち悪い、と言っているのを聞きました。
授乳のたびに、何とも言えない気持ち悪い感じや、イライラ、ゾワゾワ感があり、授乳をするのが嫌で仕方ないそうです。
共に調べてみると、「不快性射乳反射」(D-MER・ディーマー)という言葉が目に入りました。
私たちも聞いたことがない現象で、同じような悩みを抱えながら原因が分からなかったお母さんもいるかもしれません。
しかしこの現象は愛情不足や病気ではなく、また、授乳による気持ち悪い不快感への対策もあるようなので、安心してくださいね。
不快性射乳反射の原因や、対策を知ることで、少しでも不安の種を取り除ければと思います。
授乳で気持ち悪い症状やイライラが?原因は不快性射乳反射

赤ちゃんのお世話は、することがたくさんあって大変ですよね。その大変な中でも1、2を争うのが、授乳ではないでしょうか。
ひとくちに授乳と言っても、完全母乳やミルクと人それぞれありますが、母乳育児中の友人から、授乳時の悩みがあると聞きました。
授乳をする時にだけイライラしたり、気持ち悪いなどの不快感が出て困っているというのです。
もしあなたも同じ悩みがあるのであれば、その症状、実は「不快性射乳反射」かもしれません。
この不快性射乳反射は、D-MER(ディーマー)とも呼ばれています。
Dysphoric Milk Ejection Reflexの略。母乳育児中である母親の射乳反射30~90秒前に、気持ち悪い、イライラなどの不快感が現れ、射乳反射のたびに繰り返される不快症状のことです。
お母さんの生育歴や分娩体験などは影響せず、生理的現象で病気ではありません。
- 気持ち悪い・吐き気
- 胃の不快感
- イライラする
- 不安・悲しみ・恐怖
- 気分の落ち込み
- 緊張・感情的動揺
- 絶望感・否定的な感情の現れ
2007年に初めて報告されたので、まだまだ知られていない症状のようです。医療関係者でも知る人が少ないほどで、育児書にもあまり書かれていません。
そのため、症状に悩んでいるけれど、解決できないという方が少なくないのです。
ただでさえ苦労の多い育児中に、気持ち悪い症状が出たりイライラすると、本当に辛いですよね。
私ももうすぐ7歳になる娘と、4歳になる男女の双子を育てています。
授乳をする赤ちゃん時期は数年前に終わりましたが、その時は乳腺炎や乳頭の痛みなど、育児をするなかでいろいろな苦労もありました。
それでも授乳時期が終わり、大きく育った子供達を見ると、おっぱいを飲んでいた頃が懐かしいなと思います。
今授乳時の不快感に悩んでいるあなたも、必ず「あの時は大変だった」と懐かしみながら子供たちを眺める時がきます。
もし辛くなったら、そんな未来もイメージしてみると、少し気が楽になるかもしれません。
さて、不快性射乳反射は、病気ではなく生理的現象ということがわかりました。しかし、どうすれば不快感を和らげることができるのでしょうか。
ここでは、不快性射乳反射が起こるしくみや、授乳時に起こる不快感への対策をご紹介します。
授乳で気持ち悪いのはホルモンの影響!?そのしくみを解説!

不快性射乳反射(D-MER・ディーマー)は、ホルモンの変化によって引き起こされる現象です。
一部のお母さんになぜ起こるのかは、明確には分かっていませんが、ホルモンからくる影響が大きいのは確かです。
授乳時に赤ちゃんがおっぱいを吸うと、お母さんの脳に刺激が伝わり、二つのホルモンが出ます。
まず、プロラクチンというホルモンによって乳腺で母乳が作られ、オキシトシンというホルモンの働きで母乳が出ます。
この一連の作用を「射乳反射」といいますが、これによって気持ち悪い、何とも言えない不快感が一部の人に出るのです。
一説では、射乳反射の時にドーパミンという神経伝達物質が、一時的に低下して不安定になるため起きるともされています。
ドーパミンは、やる気や幸福感など、ポジティブな感情に関するホルモンです。そのドーパミンが低下するので、不快感やネガティブになる可能性もあるということです。
ほとんどの場合、授乳中でも数分以内で気持ち悪い症状はおさまってきます。
また、症状はさまざまで、数か月で徐々に軽くなる方がいれば、授乳期間が終わるまで続く場合もあるようです。
しかし、これらはお母さんの育った環境や分娩体験などは、影響しないと言われています。
産後の体調や気持ちが不安定だから、母性が足りないからという原因では全くありません。不快感は授乳をしている間だけの生理現象です。
どうしてこんなに気持ち悪いの?楽しく育児したいのに、イライラするのはなぜ?と悩んでいるあなたは、決して、赤ちゃんへの愛情不足だなんて思わないでください。
不快性射乳反射は、どうしても起こってしまう生理現象なので、あなたが悪いわけではありません。
赤ちゃんに対する愛情が関係することは全くないので、自分を責めず前向きに考えて欲しいと思います。
お母さんの体調がすぐれないのに頑張っている姿は、きっと赤ちゃんも分かってくれているはずですよ!
授乳で気持ち悪い時の対策は!?あなたに合わせた方法を

不快性射乳反射からくる症状や、不快感の度合いには個人差があります。
気持ち悪い感じやイライラなどの症状がそんなにひどくない場合は、最短3か月程、遅くても9か月頃までには自然に落ち着くことが多いと言われています。
しかしその一方で、症状が重い場合は1年以上続く場合もあるそうです。不快感がそんなに続くなんて辛いですよね。
では、どうすれば授乳時の気持ち悪さが和らぐのでしょうか。
それは、自分の症状を把握して、あなたに合った対策をすることが大切です。
まず自分の授乳時がどんな状態か、様子についてメモなどを取って傾向をつかみましょう。
例えば、授乳を始めてすぐに気持ち悪い感じがした、など授乳中の詳しい症状を記録します。
その時により違う体調やストレス、授乳する前に口にした食べ物や飲み物も参考になるかもしれません。
そして、気持ち悪い時に気をまぎらわせたり、気分が上がることをしてみると、症状が和らぐこともあります。
- 好きなことをする
- 好きなものを食べる
- 水分をたくさん取る
- リラックスできる空間を作る
- 楽しいことを考える
- 母乳をやめてミルクに切り替える
ご紹介する対策はほんの一例ですが、いろいろと試してみてください。あなたに合った対策がきっと見つかるはず!
好きなことをしながら授乳をする
テレビで好きな番組を見たり、スマホで楽しい動画やSNSを見るなどして、自分の好きなことをしながら授乳するのがおすすめです。
好きなことに夢中になっていると、気が紛れて不快感は和らぎます。夢中になって何も考えず過ごすと、ネガティブな気持ちもどこかへ行ってしまいますよ♪
本来授乳中にテレビやスマホを見ることは良くないと言われていますが、それ以上にお母さんの苦痛を和らげることが大切です!
赤ちゃんに集中して授乳をするのは理想ですが、気持ち悪いと集中するどころか授乳をやめたくなります。
それよりも、お母さんの気が紛れて、その間に赤ちゃんがたくさん母乳を飲んでくれることの方が重要なのではないでしょうか。
好きなものを食べながら授乳をする
何か好きなものを食べながら授乳するのも、気が紛れるのでおすすめです。
乳腺炎の心配がない程度に、甘いお菓子や好きな食べ物を口にしてみるのもいいでしょう。
好きなものを食べると幸せな気分になるので、不快感が和らぎます。
授乳中はお母さんだけではなく、赤ちゃんへの栄養も必要なので、すぐにおなかがすきませんか?
私が授乳をしていた頃は、食べても食べてもおなかがすいて、ごはんをたらふく食べ、食事の合間にお菓子を間食し、常に食べていた記憶があります(笑)
授乳時間を間食タイムにしてみるのも、いいのではないでしょうか♪
水分をたくさん取る
母乳は約90%が水分からできていると言われていて、赤ちゃんに授乳中のお母さんは水分をたくさん取らなければいけません。
水分不足はめまい、吐き気、頭痛などの症状を引き起こすので、不快性射乳反射を悪化させてしまう可能性があります。
お母さんは忙しくて水分補給を忘れがちになるかもしれませんが、普段より意識して水分を取りましょう。冷たい飲み物よりは、暖かい飲み物の方がいいですよ。
カフェインは控えめにした方がいいですが、気分がほっとする飲み物を取りながら授乳してみてください。
私は出産直後からとても喉が渇いて、毎日大量のお茶やお水を飲んでいました。母乳を作るために、からだが欲しているんだ!と感じるほどです。
授乳中は1日に2~3リットルの水分を採るのが目安です。無理のない範囲で、こまめな水分補給を心掛けてくださいね。
リラックスできる空間を作る
アロマやお香など、好きな香りに包まれながら授乳するのもいい方法です。リラックスすると、不快性射乳反射の症状が和らぎます。
お気に入りの音楽を聴くこともよさそうです。楽しい音楽で気分を上げたり、落ち着いた音楽でゆったりした気分になったり♪五感を刺激することで、気が紛れるかもしれません。
お部屋をあなたのリラックス空間にすることで、少しでも不快感が無くなるといいですね!
楽しいことを考えながら授乳をする
授乳中はついついネガティブになってしまう…というあなたは、自分にとって楽しいと思えることを考えましょう!
今度遊びに行く予定や、楽しみなお買い物など、赤ちゃんのことばかりじゃなくても大丈夫♪
授乳が終わったら美味しいものを食べよう!赤ちゃんがお昼寝したらあれがしたい!など、なんでもいいのです。
とにかく、楽しい気分で不快感を紛らわせてしまいましょう!
育児中は出かけることができなかったり、好きなことをする時間が少なかったりしますが、ネガティブにならず楽しみなことをどんどん考えていくのが大切です。
すぐに実行できなくても、いつか必ず叶う時がきますよ♪
母乳をやめてミルクに切り替える

いろいろと試してみたけれど、症状がひどくて辛い…というあなたは、思い切って母乳をやめるのもひとつです。
ミルクでも母乳に近い栄養が採れて、何も問題はありません。赤ちゃんは、母乳でもミルクでもしっかりと育ちます。
母乳が出ているのに、あげるのをやめてしまうというのは抵抗があるかもしれません。
こんなに時代が進んでいても、いまだに母乳神話はよく聞きますからね。
しかし、時代が進んでいるからこそミルクを作る技術も発達し、今では赤ちゃんにぴったりなものがたくさんあります。
そして不快性射乳反射はホルモンによる生理的現象で、いくらお母さんが頑張っても克服できない場合だってあるのです。
気持ち悪いのに授乳をしなければいけない、赤ちゃんはかわいいのにイライラしてしまうなど、授乳でストレスが溜まりすぎるのはよくありません。
せっかくの赤ちゃんと過ごす時間が、苦痛になってしまうのは悲しいですよね。
それなら、その苦痛を取り除く方法として、ミルクに切り替えるのもひとつとして考えてみてください。
私は母乳が良く出ましたが、下の双子は生後6か月まで完全母乳、その後離乳するまでミルクで育てました。
まだ母乳は十分でていたのですが、二人分となると今後足りなくなるかもしれない、それよりも双子の授乳は忙しすぎる!ということで、割り切ってミルクに切り替えました。
要は自分が楽になりたかったのです。余裕が無い中で、少しでも効率よく授乳をしたいという思いでした。
状況は違いますが、ミルクに切り替えるか悩んでいるあなたに、参考にして欲しいと思います。
哺乳瓶を洗ったりお湯を用意するのはまた大変ですが、慣れれば事前準備をして効率よくできるようになります。
実際、不快性射乳反射に悩んで母乳をやめるお母さんも多いようです。みんな始めのうちは悩むけれど、やめてみると、よかった!と思う方が多いみたいですよ。
自分を追い込まず、今まで頑張って母乳をあげてきたということを誇らしく思ってくださいね。
まとめ

- 授乳時に気持ち悪いのは、不快性射乳反射(D-MER・ディーマー)という現象
- 不快性射乳反射はホルモンの影響で起きる
- 授乳時に気持ち悪い場合、自分の症状に合った対策をしよう
- 不快感を和らげるには、気を紛らわせることが一番
- それでも辛いなら、母乳をやめてミルクに切り替えることも検討しよう
私の友人のように、どうしてこんなに授乳が辛いんだろう、他のお母さんと何が違うんだろうと悩む時もありますよね。
しかし、それはあなたが悪いというわけではありません。そして、あなただけではありませんよ。
他にも不快性射乳反射に悩んでいるお母さんもいますし、あなたの周りには支えてくれる家族や友人がいると思います。
辛いときは誰かに頼ってもいいし、気持ち悪いときは頑張ることをお休みしてもいいのです。
赤ちゃんがとても大切で、かわいくて仕方ないから悩んでしまいますよね。
そんな風に悩むことはたくさんありますが、そんな時こそ笑顔で過ごしてみましょう!
お母さんの笑顔は赤ちゃんに届いて、きっとみんなが幸せになれるはずですよ。
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