地震が起こった時、ペットはどうするのがよいのでしょうか?
2013年に環境省は、大規模災害時のペットの取り扱いに関するガイドラインを策定しました。
これにより、災害時にペットをどうするかというと、同行避難が原則になりました。
地震が起きたら、迷わずペットと一緒に避難しましょう!
東日本大震災のとき、我が家にも室内で飼っているダルメシアンがいました。
警報に従って犬と高台にある避難所まで行ったものの、そこに犬の居場所はありませんでした。
結局自宅に引き返しましたが、その当時はガイドラインがなく、どうするべきなのかわからなかったのです。
地震がおきたとき、ペットと安全に避難するためには、日頃からの備えが大切です。
こちらでは、いざという時に慌てることなく、避難できるような準備をご紹介します。

地震のときペットはどうする?同行避難について知っておこう!

地震などの災害が発生したら、ペットはどうするのが良いのでしょうか。
自分にとっては大切な家族ですが、命の危険が迫っているときに、何を優先すべきかは、難しい問題ですよね。
避難するのであれば一緒に行きたいけれど、連れてっていいものなのでしょうか?どうするべきなのか判断に迷うところです。
2013年、環境省は「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を策定しました。
これは東日本大震災の教訓を経て、国が策定したもので、大規模災害時に、ペットをどうするべきなのか明示されています。
これによると、基本的に災害時は、飼い主の責任でペットと同行避難すること、となっています。
というのも、東日本大震災時は、ペットと一緒に避難できることを知らずに、家に置いたまま避難する人が多かったのです。
すぐに戻れたらよかったのですが、そのまま避難生活が長引いてしまった結果、多くのペットが家族と離れ離れになってしまいました。
実際に、2011年の東日本大震災発生時、わたしも愛犬のダルメシアンと避難所に逃げた経験があります。
海岸沿いに自宅があり、津波警報が発令されていたので、犬と両親と共に、避難所指定の学校まで行きました。
しかし、避難所についたものの、犬の居場所はなく、小雪がちらつくほどまだ寒い季節でした。
しばらく避難所のグラウンドで待っていましたが、結局、夕方になって自宅に戻ってきました。
余震が続き、津波警報が発令されていたものの、その夜は家族と犬と同じ部屋で寝た思い出があります。
幸い、津波には襲われず、家族全員一緒に過ごしながら日常生活を送ることができました。
しかし、あのとき、本来ならどうするべきだったのか、疑問が残ったままの避難生活でした。
また熊本地震の際も、ペット連れでの避難生活の難しさがニュースになっていましたよね。
大規模災害時に、ペットと一度はぐれてしまったら、再会はほとんど無理だと思っていたほうがよいでしょう。
そのため、もし避難指示がでたら、迷わずペットと一緒に避難することが大切です。
同行避難ってどうするの?ポイントと注意点について
2013年の策定後、さらに2018年に、「人とペットの災害対策ガイドライン」へと改訂され、ペット連れ避難に関するより詳しいガイドラインが出来あがりました。
そして、災害時のペットの扱いは基本的に同行避難が原則となったのです。ところで、同行避難、とはなんでしょうか?
同行避難とは、避難するときはペットも一緒に安全な場所にいく、という意味です。
似たような言葉で同伴避難、という言葉があります。これは、避難所で一緒に過ごす、という意味になります。
つまり、同行避難とは、一緒に安全な場所に移動するものの、避難所の同じ空間で過ごせるわけではない、ということです。
避難所でのペットの取り扱いは、自治体や避難所で異なります。
避難所のパターンとしては、以下のようなものがあります。
- ペット受け入れ可
- ペット受け入れ不可
- ペットと同じ空間で過ごせる(同伴避難可)
- ペットと部屋は別々(同伴避難不可)
ただし、実際には、盲導犬などの介護犬を除き、同伴避難できる避難所は限られていることに留意しましょう。
多くの避難所では、人間とペットの部屋は別々で生活は分けられています。
ペットには専用スペースが設けられ、屋内外のケージで過ごすことになるのが一般的なのです。
理由としては、避難所が集団生活をする場になるので、ペットアレルギーの人などへの配慮が必要になるためです。
なお、指定の避難所がペット不可の場合、ペットと共に自家用車内で過ごす人もいます。
しかし、避難が長期化すると、飼い主がエコノミー症候群になってしまうこともあり、おすすめできません。
やむをえず車中避難している場合は、熱中症にも気をつけましょう。また、車中でなくても、真夏の避難生活時は熱中症対策をしてくださいね。
このように、地震発生時にペットと一緒に行動はできるものの、避難所によっては、一緒に過ごすことができない場合が多いのが現状です。
そのため、地震などの災害が起こる前に、ペットとの避難に備えておくことが大切ですね。
同行避難が難しい場合はどうするの?
最寄りの避難場所がペット受け入れ不可の場合、同行避難が難しい場合もあります。
また、地震が起こったとき、人間もペットもパニックになってしまい、落ち着いて行動できない場合があります。
もしペットとうまく一緒に逃げられなさそうな場合は「ペット残留情報カード」を利用しましょう。
まずはペットが逃げ出さないようにしっかりと戸締りをします。
その後に「家の中にペットがいます」と書いたカード(ペット残留情報カード)を目立つところに貼ります。
もし、自分が戻ることができなくても、その紙を見た誰かが助けてくれるかもしれません。
避難時はパニックになっていることもあるので、このカードは事前に作っておきましょう。
裏紙に走り書き、もいいですが、ラミネート加工しておくと雨風でも外れず、長持ちするのでおすすめですよ。
作ったカードと一緒にガムテープなど、壁に貼るものを用意しておくと完璧ですね。
ペットと離れないことが一番ですが、もしものことを想定して準備しておくことが大切なのです。
また、同行避難するためには、普段からキャリーバッグやケージに慣らしておくことが必要ですよ。
しかし、練習していても、いざとなると、飼い主もペットもパニックになって、うまくケージに入ってくれないこともあります。
猫やそのほかの小動物などは、地震で驚いて家具の後ろに隠れてしまう、ということもあるでしょう。
しかし、災害時には、ペットの安全よりまずは自分の身の安全確保が大切です。
そのためにも、もしもの備えとして「ペット残留情報カード」を準備しておくといいです。
ペット連れのあなたに地震被害が起こった場合、まずは近所の避難所が、同伴避難できる場所なのか確認しましょう。
同伴避難できない場合は、ペットにケージの中でも過ごせるように、訓練しておくことが効果的です。
また、どうしても一緒に過ごしたい場合は、車中で避難することも想定し、ペットと長期的に過ごせる環境を整えましょう。
場合によっては、どうしても同行避難できない場合もあります。災害時に、親戚や知人など、預けられる先を確保しておくことも重要です。
また自宅にペット残留カードを残して、しばらくお留守番してもらう覚悟も必要でしょう。
地震のときの必要なペット用の備えとは?持ち物は何が必要?

それでは、いざ、地震が来た時に、ペット用に準備しておくものはどのようなものがあるでしょうか?
先ほどもお伝えしたように、同行避難が原則なので、一緒に避難するために必要な備えが必要です。
人間用に、避難グッズを用意しているのと同じように、ペットの分も用意しておきましょう。
「人とペットの災害対策ガイドライン」では、具体的にペット用の避難グッズの例が載っています。
これによると、最も優先順位が高いものは、動物の健康や命に係わるものです。
具体的には以下のグッズを備えておくことを推奨されています。
- ペットフード(少なくても5日分)
- 常備薬
- ケージやキャリーバッグ
- 予備の首輪、伸びないタイプのリード
- トイレ用品
- 排泄物処理道具
- 食器
まず、大切なものはペット用の食事と水の確保です。
当然かもしれませんが、避難所で用意されているのは基本的に人間への支援物資です。
ペット用支援物資が届くまでは時間がかかることがあるので、少なくとも5日分は用意しておくのがおすすめです。
もしペットが決まったものしか食べられないようであれば、多めに用意するようにしましょう。
食べ物だけではなく、地震の結果、断水などで水が貴重になった場合、ペットの水は飼い主の責任で準備します。
ただでさえ限られた支援物資ですので、今の日本では人間優先が基本です。
避難所で十分な飲料水が確保できない場合に備えて、ペット用の水は飼い主が用意することが推奨されます。
基礎疾患を持っていて、常備薬が必要なペットの場合は、薬を十分に用意しておくことも必要です。
もし、不足した場合に調達できるように、常備薬の薬や量などもメモしておくのも効果的ですよ。
集団生活ではトイレマナーなども気を使う必要があります。普段からしっかりとしつけしておきましょう。
次に優先順位が高いのは、飼い主やペットの情報です。
- 飼い主の連絡先・緊急連連絡先
- ワクチンの接種状況やかかったことのある病気
- かかりつけ動物病院の情報
避難用グッズの中に、ペットの飼育記録、ワクチン証明書のコピーなどを入れておくと便利ですよ。
人間もそうなのですが、地震などの災害時に、実は一番困るのが「過去の記録を失う」ということなのです。
東日本大震災時には市役所が流されてしまい、住民のデータがわからない、という市町村がありました。
ペットも同様で、証明書等を失くしてしまうと後で回収することができない場合があります。
かさばるものではないので、避難用バッグに一緒に入れておくと、後で証明書等が必要なときに役に立ちます。
その他、優先順位は低いですが、以下の用品も備えておくと便利です。
- タオル、ブラシ
- 予備の首輪・リード
- お気に入りのおもちゃ
- ビニール袋
- トイレットペーパー
- ウエットティッシュ
- ガムテープ
- マジック
- 新聞紙
- 消臭スプレー
これらの防災グッズは、人間用にも役立つものがあるので、少しずつでいいので、用意しておくといいですよ。
また、避難所ではペットと離れて暮らす可能性が高いです。グッズにはすべて記名しておきましょう。
なお、余裕があれば防災バックは家の複数の場所に用意するといい、と言われています。
地震や火事の際、いつもの出口が塞がってしまった、ということもあるからです。
人間には配られる支援物資がペットは後回し、というのが実際のところです。
特に食糧に関しては、最初から避難所で配布される可能性は低いので、かならず避難用グッズに入れて備えておきましょう。

地震のときのペット対策とは?4つのポイントを紹介!

次に、地震などの災害時に、ペットと安全に避難するための対策をご紹介します。
災害時のペット対策のポイントは以下の4つです。
- ペットの迷子対策
- 飼い主以外との関係
- ペットの心のケア
- 家族との避難対策会議
1.ペットの迷子対策
先ほどもお伝えしましたが、災害時にペットと離れ離れになってしまうと、再会はとても難しいです。
地震発生時には、まずは迷子にならないようにすることが一番大切です。
さらに、もし迷子になってしまっても、飼い主がわかるようにしておくことで再会の可能性が高まります。
具体的には、首輪が劣化したり、緩んだりしていないかを日頃から確認しましょう。
首輪には以下の情報を記載した札をつけておくと効果的です。
- 登録番号
- ワクチン接種情報
- 飼い主の連絡先
なお、災害時には首輪が外れてしまうこともあるので、マイクロチップで上記の情報を体内に埋め込む方法もあります。
ベストな対策としては、すばり、首輪の情報とマイクロチップの併用です!
その他、迷子になってしまったときにすぐに捜索願いなどが出せるように、ペットの写真を用意しておくのもおすすめですよ。
②飼い主以外との関係
ペットも人間と同じで性格があるので、人見知りの子もいるかもしれません。
ただ、災害時には飼い主と離れて暮らす可能性も高いので、日頃から家族以外と触れ合う機会を持っておきましょう。
避難所には動物が苦手な人もいるかもしれません。好きだけどアレルギーがある、という人もいます。
一緒に避難している人への配慮として、無駄に吠えたりしないよう、日頃からしつけをしておきましょう。
犬であれば、「まて」「おすわり」「ふせ」など、基本的なしつけを普段からしておくことは大切です。
また、避難所ではケージに入っていなくてはいけないこともあります。
ケージの中でも過ごせるように、トレーニングしておくことも効果的でしょう。
猫の場合、犬と違い散歩をさせる習慣がありません。そのため、多くの時間をケージで過ごすことになります。
猫用ハーネスがあるので、それを使って散歩する練習をしておくのもよいですね。
さらに、普段からペットを飼っている仲間で交流を持っておくことも大切な備えです。
いざというときに役立つのは、遠い親戚より近くの他人、と昔からいいますよね。
ネットワークを作っておくことで、緊急時に助け合いながら避難したり、避難中も協力しあったりできますよ。
東日本大震災の時、わたしが愛犬と避難所から自宅に戻ることを決めたのも、近所の犬仲間からの提案でした。
「避難所にいても犬の居場所はないので、しばらく戻っていましょう」と相談し合えたのです。
一人では判断しかねましたが、犬仲間の存在が気持ちを和らげてくれたと思っています。
③ペットの心のケア
災害時、慣れない環境で生活し、ストレスを感じるのはペットも同じです。
避難所についてから食欲がない、頻尿になる(お漏らししてしまう)、震えている、などの症状が出る場合も…。
可能な限り一緒に過ごしてあげましょう。ケージが苦手な子は、いつもより長めに散歩してあげるのも効果的です。
避難生活は心細いですが、ペットと過ごすことで人間も癒されますよね。
ペットのお気に入りのおもちゃやタオルがあれば、避難時に一緒に持って行くことをおすすめします。
避難所に獣医さんがいる可能性は低いので、ペットの様子をいつも以上に注意深く観察してあげてください。
④家族との避難対策会議
ペットのためだけではありませんが、地震に備え、家族で防災対策をついて話し合っておくことも大切です。
いざというときの連絡方法、集合場所、留守中のペットの取り扱いなどを共有しておきましょう。
最寄りの避難所がペット不可だったり、避難が長期化したりする場合、ペットを親戚や友人に預けざるを得ないこともあるかも知れません。
その場合の預け先の共有しておくことは大切です。
その他の事前準備として、地域によってはペットも同伴できる避難訓練があります。
事前に避難時のノウハウを知っておくことが、災害時の備えとなりますよ。
地震などの災害時のペット対策、いかがでしたでしょうか
迷子対策をすること、飼い主以外との関係に配慮すること、心のケアをすること、そして事前家族会議がポイントです。
備えあれば憂なし、とはよく言ったもので、普段から用意周到にしておくことで、緊急時のパニックを防げますよ。

まとめ

- 地震などの災害の際、ペットの取り扱いをどうするべきかというと同行避難が原則
- 地震の際の避難所は、ペットと同室で生活できる可能性は低く、離れて暮らすことになる可能性が高い
- 避難所のペットの取り扱いを事前に調べておくことが重要
- 地震の際、どうすることもできなければペット残留情報カードをペットとともに自宅に残して避難する
- ペット用避難用グッズに入れるもので優先順位が高いものは動物の健康や命に係わるもの
- 地震の際の備えのポイントは、迷子対策、飼い主以外との関係への配慮、心のケアと事前家族会議
地震のとき、ペットをどうするべきか、についてご紹介しました。
地震発生時は、人間だけでなくペットもストレスを抱えることになります。
慣れない環境でも安心して過ごすことができるように、まずは避難の際のシミュレーションをしておくことをおすすめします。
避難生活が長引いた場合でも、あなたもペットも健康に過ごせるように、しっかりと準備をしておきましょう。

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